建設業許可と建設業法③・営業所とは?

お疲れさまです。
前回、営業所を設置する数と場所によって、建設業の許可が大臣許可或いは知事許可になるというお話をしました。
本日は、その営業所の定義というか決まりみたいなものをもう少し掘り下げてお話をしてみたいと思います。

当事務所でご相談を頂いた事例を参考に質問形式でお話をしていきますね!

1.契約書の締結を本社でだけする場合は「知事免許」で大丈夫ですか?
建設業許可は、営業所が1つの都道府県にのみある場合は知事免許営業所が2つ以上の都道府県にある場合は大臣免許が必要というように決められています。
では、建設業許可でいう「営業所」とはどんなものなのでしょうか?

建設業法では、「営業所」は常時建設工事の請負契約が締結できる事務所と定められています。
例えば県外に営業所・出張所があったとしても、県内の本社でのみ請負契約を締結するのであれば、県外にある営業所・出張所は建設業法でいう「営業所」には該当しません、したがって必要な建設業の許可は「知事免許」で大丈夫ということになります。

建設業法施行令第1条(支店に準じる営業所)に下記の様に定められています、
建設業法(以下「法」という)第三条第1項の政令で定める支店に準じる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする

◆出張所は「営業所」じゃないですよね?というご質問もよくあります。
いえいえ「出張所」であっても建設業法の「営業所」に該当する場合がありますね。
建設業法では、常備建設工事の請負契約が締結できる事務所のことを「営業所」としています、名称がなんであるかを決めているわけではありません。例え○○出張所であっても、そこで常備建設工事の請負契約が締結できるのであれば、○○出張所は建設業法の「営業所」になってしまいます。
このような○○出張所が、県外にあれば当然ですが、「知事免許」ではなく「大臣免許」が必要になってきます。

◆建設業許可でいう「営業所」でなければ出来ないこととは何なんでしょうか?
建設業法では、常備建設工事の請負契約が締結できる事務所と定めていますが、それだけが「営業所」の役割なのでしょうか…、
詳しく調べてみると「建設業許可事務ガイドライン」に営業所の範囲について下記の通り記載されています。

【建設業許可事務ガイドライン】
第3条関係 2.営業所の範囲について

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常備建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常備建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。
また「常備建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。
なお、1.(1)のとおり、許可を受けた業種については軽微な工事を請け負う場合であっても、届出をしている営業所以外においては当該業種について営業することはできない。

上記ガイドラインで注意すべき点は、
「常備請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいうということです。つまり、単に契約書に押印する事務所が「営業所」ではないといっています、請負契約の見積りを行う事務所や入札を行う事務所も「営業所」に該当するといっています。

別のお話にはなりますが、建設業法で「営業所」に該当する場合、建設業許可では届出が必要になっています、届出されていない事務所では当然に請負契約などできません、そんなことがおきないよう注意してくださいね。

本日は、建設業許可の営業所についてのお話でした。
次回は、建設業許可のもう一つの種類というか…、分け方になる「特定建設業許可と一般建設業許可」についてお話をします。