建設業許可と建設業法⑨ 建設業許可の要件(財産的基礎)

 お疲れさまでーす😄、本日でお盆休みも終わりという方が多いのではないでしょうか?
明日からのお仕事に備えて本日のお話はまったりと読んでいただければいいと思います、よろしくお願いします。

では、『建設業許可の5つの要件』の3つ目「財産的要件」についてです。

建設業許可申請の手引き等を見ると、「請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的な信用があること」と記載されています。
具体的にはどのようなことを言っているのでしょうか?
建設業法ではどういっているのでしょうか?……見ていきましょう!

1財産的基礎・金銭的な信用とは…?
建設業法では、第7条4号(特定建設業は第15条3号)で「財産的基礎・金銭的な信用」を有していなければ建設業の許可をしてはならないとあります。

では、「財産的基礎・金銭的な信用」とはどういうことでしょうか?
建設業を営むためには、資材や機材の購入が必要になります。そのためには購入資金がいりますよね。建設業の許可を取得する業者・人には、その資金を有するために最低限の基準を定めているということです、それがこの「財産的基礎・金銭的な信用」になります。

しかし、「一般建設業許可と特定建設業許可」ではこの「財産的基礎」の考え方が違います、「特定建設業許可」の方が厳しい条件になっています。それは「特定建設業許可業者」の多くは下請業者を使用して工事を行うことが多いからです。
「財産的基礎」がないことで下請業者に支払いができなくなるようなことがおこらないようにするためです(下請業者の保護的な考えですね)。

別途、特定建設業許可業者には、下請業者から工事の目的物の引渡しの申出がなされから50日以内に下請代金を支払わなければならないとの決まりもあります、これは、建設業法24条の6,第1項に下記のように記されています。これも下請保護を意識した法律ですね。
【建設業法第24条の6 第1項】
特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。

(1)具体的な「財産的基礎・金銭的な信用」とは…?

具体的というか…、建設業の許可を取得する際には、下記の内容を証明しなければいけないということです。

一般建設業許可の場合 特定建設業許可の場合
●次のいずれかに該当すればOK
①自己資本の額が500万円以上であること
②500万円以上の資金を調達する能力があること
③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること
●次の全てに該当しなければダメ
①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上であること
③資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

証明する方法!

★自己資本とは?
・法人では、貸借対照表における純資産合計の額のことです。
・個人では、期首資本金、事業主勘定及び事業主利益の合計額から事業主仮勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益保留性の引当金及び準備金の額を加えた額のことです。

★一般建設業許可の「500万円以上の資金を調達する能力」とは?
・担保とすべき不動産等を有していることなどによって、金融機関などから500万円以上の資金について融資を受けられる能力のことです。具体的に証明する方法としては、取引金融機関の預金残高証明書又は融資証明書などです。

★特定建設業許可の「欠損の額」とは?
・法人では、貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合に、その額が資本剰余金、利益準備金及びその他の利益剰余金の合計額を上回る額のことです。
・個人では、事業主損失が事業主借勘定の額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益保留性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額のことです。

★特定建設業許可の「流動比率」とは?
・流動資産を流動負債で割った数字に100をかけた数字のことです。

★特定建設業許可の「資本金」とは?
・法人では、株式会社の払込資本金、持分会社の出資金額のことをです。
・個人では、期首資本金のことです。

(2)「財産的基礎」はどの時期で証明すればいいの?
「財産的基礎」は常時満たしていなければならない要件ではありません、建設業許可の新規申請、更新申請、業種追加申請などのときに条件を満たしていれば大丈夫です
つまり、申請の直前の決算で条件を満たしていれば大丈夫ってことです。更新であれば更新の直前の決算で条件を満たしていれば、例え2年前の決算で条件を満たしていなくてもOKです。

ただし、「特定建設業許可」は更新の際に注意が必要です。
「一般建設業許可」は上記③に「許可申請の直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること」とあるように、許可を取得後5年を経過すれば許可申請には財産的基礎は既に証明されています、新たに証明することは必要ないのです。
しかし、「特定建設業許可」は更新直前の決算で①~③すべてを満たしていなくてはなりません。仮に、「特定建設業許可」業者さまで更新の直前決算で「財産的基礎である①~③」を満たしていない場合は特定建設業許可の更新をすることはできません、事前に般特新規申請をして「一般建設業許可」に許可を変更しておかなければ建設業の許可はなくなってしまいます。注意が必要ですよ!

本日は以上です、次回は、建設業法では明確に許可の要件としては書かれていませんが、建設業許可申請の手引き等では明確に許可の要件として書かれています「適切な社会保険の加入」についてです。