建設業許可と建設業法⑧ 建設業許可の要件(専任技術者2)

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本日は、建設業許可の5つの要件の一つ『専任技術者』のパート2・続編みたいなお話です。
『専任技術者』について、お客様からご相談された事例をご紹介させて頂きたいと思います。

1.実務経験はないのですが、設計の経験はあります、専任技術者になることはできますか?というご相談です。

最初に言っておきますね、専任技術者になれる可能性はあります。

まずは、一般建設業許可の専任技術者になることが出来る実務経験とはなんぞやというところから見ていきましょう!

(1)一般建設業許可で選任技術者になることができる実務経験とは?
一般建設業許可の専任技術者には、国家資格がなくても実務経験でなることができます(特定建設業は実務経験だけではなることができません)、下記のいずれかの実務経験があれば大丈夫です。
①大学卒業+3年以上の実務経験
②高等専門学校卒業+3年以上の実務経験
③専門学校卒業(高度専門士、専門士)+3年以上の実務経験
④専門学校卒業+5年以上の実務経験
⑤高等学校卒業+5年以上の実務経験
⑥学歴がない場合は、10年以上の実務経験
⑦複数業種については一定期間以上の実務経験


①~⑤の学歴については次の表の指定学科を卒業していることが条件になります。

【建設業種別指定学科】

許可を受けようとしている建設業種 指定学科
土木工事業・舗装工事業 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下この表において同じ)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業・大工工事業・ガラス工事業・内装仕上工事業 建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業・とび・土工工事業・石工事業・屋根工事業・タイル・れんが・ブロック工事業・塗装工事業・解体工事業 土木工学又は建築学に関する学科
電機工事業・電気通信工事業 電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業・水道施設工事業・清掃施設工事業 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業・鉄筋工業業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
しゅんせつ工事業 土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業 建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業 土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業・消防施設工事業 建築学、機械工学又は電気工学に関する学科
熱絶縁工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業 土木工学、建築学、都市工学又は林業に関する学科
さく井工事業 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業 建築学又は機械工学に関する学科

※指定学科に関しては、埼玉県の場合「建設業許可申請・届出の手引き(最新版)」のP18「表3-2 指定学科の具体的な学科一覧」を参考にしてみてください。

実務経験で認められる期間は原則1業種です、複数業種を経験していても重複して計算することはできません。実務経験だけで2業種の専任技術者と認められるには10年×2業種の20年以上の実務経験が必要になります。
ただし、平成28年5月31日までにとび・土工工事業許可で請負った解体工事業の実務経験は、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業及び解体工事業の両方の実務経験として重複して計算することが認められています。
実務経験は、継続していることは必要ありません、合算した期間が実務経験になります、それを証明できればOKです!

(2)実務経験として認められるもの、認められないもの
①実務経験として認められるもの

一般建設業の専任技術者として認められる実務経験は、建設工事の施工に関する技術上すべての実務経験です、工事施工の指揮・監督、建設機械の操作など建設工事の施工に関わった実務経験です、見習い中の技術習得のための経験も実務経験として認められます。
実務経験は、工事の請負人としての立場だけではなく、発注者・元請人として建設工事の発注に当たって設計技術者として設計業務に関わったのであればその経験も実務経験として認められています(ご相談者の経験はこれに該当します)。

※ご相談者の場合は、高等専門学校(建築学)の学歴と設計技術者としての実務経験3年で、一般建設業許可の内装仕上工事の専任技術者となることができました。しかし残念ながら、実務経験では特定建設業の許可を取ることはできませんでした。

②実務経験として認められないもの
請負人として建設工事の現場に入っていたとしても、現場の単なる雑務等を行っていたり、事務作業を行っていた場合は、これは実務経験として認められません
また資格を持っていないと実務経験として認められないものがあります、電気工事と消防施設工事です、電気工事は電気工事士免状、消防施設工事は消防設備士免状等を持っていなければなりません。免許等がない者の経験は実務経験としては認められないのです。
その他にも、解体工事は、建設リサイクル法後の実務経験については、とび・土工工事業許可のある業者か解体工事業登録をしている業者で働いた経験しか認められません

2.専任技術者がいない場合何か方法はないのでしょうか?
方法はないわけではありません!
建設業法で、専任技術者に求められているのは「常勤と専任」です、所属建設業者と直接の雇用がなければならないとの規定はありません、
ですから、「常勤と専任」が認められるのであれば他社からの出向で専任技術者になることは可能です。
出向で「常勤・専任」を証明する方法は結構ハードルが高くなります、通常の証明方法(健康保険、給与、住所等)では証明することはできません(通勤可能な住所は必要ですが)。しっかりと「常勤・専任が証明」できる出向契約書等が必要になってくるのです、この証明は許可行政庁によって異なってきます、管轄の行政庁に確認してください。

出向の専任技術者に関しては「建設業許可事務ガイドライン」でも下記の通り認めています
【建設業許可事務ガイドライン 第7条関連】

2.専任技術者について(第2号)
(1)「専任」の者とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいう。会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱う。 以下省略

本日は以上です。次回は、建設業許可の5つの許可要件の3つ目「財産的要件」についてお話をしたいと思います。