適正取引ハンドブック・適正取引のためのノウハウ!パート4

建設企業のための適正取引ハンドブック』・3章に「適正取引のためのノウハウ」があります。今回はその部分をご紹介します。

取引条件を明確にしましょう

建設工事の請負契約の締結にあたって事後のトラブルを回避するためには、見積りの段階で、取引条件を当事者間で明確にして、しっかりと協議をすることが重要です。

見積のルール

見積には提示しておかなければならない項目があります、「建設業法第20条第3項」で下記14の項目を提示するように定めています。
建設業法第20条第3項
①工事内容
②着手及び完工の時期
③請負代金支払の時期及び方法
④工事を施工しない日又は時間帯
⑤当事者の申し出があった場合における工期の変更又は損害の負担及びそれらの算定方法
⑥天災等不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法
⑦価格等の変動等に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑧第三者損害の賠償金の負担
⑨貸与資材等の内容及び方法
⑩工事完成検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑪工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑫工事目的物の契約不適合責任または契約不適合責任に関する保証等の措置に関する内容
⑬履行遅滞、債務不履行の場合における地帯利息、違約金その他の損害金
⑭契約に関する紛争の解決方法

見積りに必要な期間

建設業法施行令第6条」で、工事1件の予定価格に応じた見積期間を設定しなければならないと定められています。
建設業法施行令第6条
①500万円未満の工事……………………………………中1日以上
②500万円以上5,000万円未満の工事……………中10日以上
③5,000万円以上の工事………………………………中15日以上

法定福利費や安全経費を明確に計上しましょう!

健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のうち建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費や労働災害防止対策に要する経費は通常必要と認められる原価」に含まれるものです。したがって見積りにその経費を明示しておく必要があります。

取引内容を書面に残しましょう

今まで建設業界では書面で残すという習慣があまりなかったことは十分に理解していますが、今後は書面で残すということが必要な時代になってきたことをご理解いただきお読みください。
契約当事者の間で合意された取引条件を着実に実行するためには、書面に合意事項を記載して、相互に交付・保存をすることで、お互いに契約内容を確認できるようにしておくことが重要です。

契約のルール

建設業法第19条第1項」で、契約には下記の15項目を明記する必要があると定めています。
建設業法第19条第1項
①工事内容
②請負代金の額
③着手及び完工の時期
④請負代金支払の時期及び方法
⑤工事を施工しない日又は時間帯
⑥当事者の申し出があった場合における工期の変更又は損害の負担及びそれらの算定方法
⑦天災等不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法
⑧価格等の変動等に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
⑨第三者損害の賠償金の負担
⑩貸与資材等の内容及び方法
⑪工事完成検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
⑫工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
⑬工事目的物の契約不適合責任または契約不適合責任に関する保証等の措置に関する内容
⑭履行遅滞、債務不履行の場合における地帯利息、違約金その他の損害金
⑮契約に関する紛争の解決方法
基本は「見積に提示しなければならない項目」と同じです、②の請負代金の額がプラスとなって15項目となっています。

契約書面の締結方法

契約書面の締結には、
契約書の交付の他に、注文書及び請書による相互交付も認められていますが、下記の①・②いずれかの要件を満たしていなければなりません
その場合、「基本契約書」または、「契約約款」には、上記15項目のうち、⑤~⑮の項目が記載されていなければなりません。
「基本契約書」+「注文書と請書」
「契約約款」+「注文書と請書」

※工事の着工前に、合意した内容を書面にして元請負人・下請負人がお互いに持ち合いましょう!