『建設企業のための適正取引ハンドブック』のこんな取引条件に要注意!パート2です。
【2章 こんな取引条件に要注意!】
3.契約工期が通常よりもかなり短い期間になっていませんか?
・建設工事の請負契約の締結にあたって、通常よりもかなり短い期間を工期とする請負契約を締結した場合は建設業法違反になるおそれがあります。
・元請負人は、下請負人の責めに帰するべき理由がなく、当初契約に定めた工期が延長になり、工事費用が増加したにも関わらず、下請負人からの協議に応じず、書面による変更契約を締結しなかった場合は建設業法違反になります。
◆チェックポイント=注意すべき点
・通常よりもかなり短い期間を工期とした契約をしていませんか?
・工期などの契約内容が変更した場合に、元請人と下請人は、双方対等な立場において協議を行っていますか?
※令和3年7月に、元請負人と下請負人との関係に関して、どのような行為が建設業法に違反するか具体的に示すことにより、法律の不知による法令違反行為を防ぎ、元請負人と下請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取引の実現を図ることを目的として『建設業法令遵守ガイドライン』が改訂されています(改定の概要はこちらをクリックしてご覧ください)。
※こちらをクリックすると「建設業法令遵守ガイドライン」について見ることができます。
◆こんな取引を目指しましょう!
・工事内容、請負金額などの契約内容を総合的に検討して、適正な工期で請け負うことができるのかを確認して、その後契約しましょう!
・工期の延長や、それに伴う工事費用が発生した場合には、元請負人としっかり協議ができるように、当初の契約で協議方法などを明確に定めておきましょう!
4.契約金額が協議なく一方的に決められていませんか?
・元請負人が下請負人と十分な協議をせずに、又は元請負人が応じずに、元請負人が一方的な請負金額を決定して契約を締結することは、建設業法違反になるおそれがあります。
・元請負人が地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない請負代金で下請負人と契約した場合は、建設業法違反になるおそれがあります。
◆チェックポイント=注意すべき点
・協議することなく一方的に提示された請負金額で契約をしていませんか?
・通常必要と認められる原価に満たないような請負代金の契約になっていませんか?
◆こんな取引を目指しましょう!
・施工責任範囲、工事の難易度、施工条件等を反映した合理的な請負代金となるように元請負人と下請負人は協議のうえに契約しましょう!
・建設業者が義務的に負担しなければならない法定福利費や労働災害防止対策に要する経費などが見積書において内容が明示されていて、それらの経費を尊重した請負代金であることを確認したうえで契約しましょう!
5.やり直し工事費用を一方的に押しつけられていませんか?
・やり直し工事となった責任や費用負担を明確にしないまま、元請負人が下請負人に費用を一方的に負担させた場合は、建設業法違反になるおそれがあります。
・下請負人の責めに帰すべき理由がないにも関わらず、元請負人が下請負人にやり直し工事の費用を一方的に負担させた場合は、建設業法違反になるおそれがあります。
◆チェックポイント=注意すべき点
・やり直し工事が発生した場合の責任や費用負担について、請負契約の書面に明示されていますか?
・やり直し工事について、下請負人の責めに帰すべき理由がないのに関わらず、一方的に費用負担を求められてはいませんか?
◆こんな取引を目指しましょう!
・あらかじめやり直し工事が発生した場合の取り決めについて協議しておいて、合意した内容については責任関係を明確にするために契約書面に記載しておきましょう!
・やり直し工事の責任や発生経緯を整理して、やり直しに必要となる費用について元請負人と下請負人のあいだで協議をしたうえで、必要に応じて契約の変更をしましょう!
本日は、「こんな取引条件に要注意!」の3~5の3つをご紹介しました、次回は「支払期日は守られていますか?」など6~8をご紹介します。