建設業許可と建設業法㉔ 請負契約について(3)

 お疲れさまです、本日も当事務所のホームページにお立寄りいただきありがとうございます。

本日は、請負契約の書面の必要性についてのお話です。
建設業法でもいろいろ決められています、この機会に一読していただけると幸いです。
では、お話を進めていきましょう!

1.請負契約は口頭ではダメなのでしょうか?
結論から言うとダメです!
建設業法第19条第1項に、建設工事における請負契約の明確性と正確性を担保して、請負契約の当事者間の紛争の発生を防止するために請負契約を書面で行うことと一定事項の記載しなければならないと定められています。

【建設業法第19条第1項(建設工事の請負契約の内容)】
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
 工事内容
 請負代金の額
 工事着手の時期及び工事完成の時期
 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項

記載が定められいる項目の第4・16号が、令和2年10月の改正建設業法で加わり16項目になつています。

別途、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)の対象となる工事の場合、上記16項目の他に下記4項目が請負契約の記載事項に追加されます
①分解解体の方法、②解体工事に係る費用、③再資源化するための施設の名称・所在地、④再資源化等に要する費用

【建設資材に係る資材の再資源化等に関する法律 第13条第1項(対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項)】
第十三条 対象建設工事の請負契約(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請契約を含む。以下この条において同じ。)の当事者は、建設業法(昭和二十四年法律第百号)第十九条第一項に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

2.請負契約の書面の方法は?
上記建設業法で定められた一定の事項を記載した書面に、請負契約の当事者がそれぞれ記名押印又は署名をして、お互いに書面を交付するのですが、書面の方法には次の3つがあります。

①請負契約書を交わす方法請負契約書に記載事項16項目を記載する。
②基本契約書を交わして、注文書・請書を交換する方法基本契約書に記載事項の4~16号を、注文書・請書に1~3号を記載する。
③注文書・請書の交換のみによる方法注文書・請書に記載事項第1~16号を記載するか、第1~3号を記載した注文書・請書に第4~16号を記載した約款を添付する。

上記のうちどの方法であっても大丈夫です、ポイントは一定の記載事項が書かれていること、記名押印又は署名をしてお互いに書面を交付するということです。

どちらにしても一からこれらの記載事項を記載した請負契約書を作るというのは大変になると思います、国土交通省の「建設工事標準請負約款について」を参照されることをおすすめします。

※よく請負契約をFAX・メールなどでやりとりして言いるお話をお聞きします。
お客さまには、請負契約は書面でしなけらばダメですよとお話をしていますが、相手もあることで難しい部分もあるようです。しかし、前述したように「建設業法第19条第1項」で記載事情を書面に記載して、署名又は記名押印したものを相互に交付しなければならない決められています。
何かあってからでは遅いです、元請・下請さんとお話をして改善していくことをお薦めします。

ただし、国土交通省で定められた一定の基準をクリアした電子契約は建設業法に適応されます、つまりこの電子契約の方法であれば書面の契約書と同等の扱いになるようです。
この電子契約に関しては、電子契約サービスを提供している事業者に問い合わせて確認してみてください(この電子契約については勉強中です、申し訳ございません)。

※もう一つよくあるのが「印紙税」がもったいないということで起こる2つのケースです。
①記名押印した請負契約書を1通作成して、下請負人にはそのコピーを交付するやり方
②元請人から注文書だけを発行して、下請負人からは注文請書を発行しないやり方

これは2つともダメです、残念ながら「建設業法違反」に当たります。

必ず一定の記載事項を記載して、お互いに記名押印または署名をした書面を相互に交付するようにしてください。
今まで大丈夫だから…と思われているでしょうが、契約書を決められて書面で取り交わすように改善していってください。

本日は以上となります、請負契約の書面に関してのお話でした。
次回は建設業許可に関係する請負契約書についてのお話です、これもお客様からよく質問されることです。次回もお時間の許す限り当事務所のホームページにお立寄りいただくようお願い致します。

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