建設業許可と建設業法㉖ 『丸投げ』とは?

 今日も一日お仕事お疲れさまでした、秋らしい一日でしたね!
紅葉の季節が近づいてきているんですね、紅葉を見に行けるよう頑張って時間調節します。皆さんも季節の変わり目を感じてくださいね!

本日は、請負契約と関連する『丸投げ』なるものです。
皆さんも聞いたことがあると思いますし、関わったことがあるかもしれませんね。

しかし、『丸投げ』は建設業法違反です、気を付けてくださいね!
では、建設業法ではどのように決められているのか?
なぜ『丸投げ』は違反になるのかについてお話をさせていただきたいと思います。

1.『丸投げ』と建設業法との関係!
建設工事における「丸投げ」は、建設業法では「一括下請負」と言われて原則禁止とされています。
建設業法第22条(一括下請負の禁止)で次のように決められています。

【建設業法第22条(一括下請負の禁止)】
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない
 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。

では何故、建設業法で「一括下請負(丸投げ)」を禁止しているのでしょうか?
建設業法では「一括下請負(丸投げ)」を次のような理由で禁止しているようです。
①発注者は、建設業者の技術力や経営能力、資力、社会的信用など色々な角度から評価をし、信頼して発注しているのに、それを裏切ることになる(信じて頼んだお客さんをうらぎることになる)。
中間搾取、工事の質の低下、労働条件、実際の工事施工の責任が不明確化などが発生する(不正や工事の質の低下が起こる可能性がある)。
③施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者が出てくることを招く(悪質な業者が出てくる可能性がある)。
①~③は【国土交通省 一括下請負の禁止について(別紙2)】に明記されています、お時間があるときにクリックして見てくだい!

具体的には、『一括下請負(丸投げ)』とはどんなものなのでしょう!
一括下請負(丸投げ)の決まりというか定義についても、上記「国土交通省 一括下請負の禁止について(別紙2)」”一括下請負とは”で明記されています。

【国土交通省 一括下請負いの禁止について(別紙2)】
二 一括下請負とは

(1)建設業者は、その請け負った建設工事の完成について誠実に履行することが必要です。したがって、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく、以下の場合に該当するときは、一括下請負に該当します。
① 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
② 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

「一括下請負(丸投げ)」は、他の業者に請け負わすことを禁止していますが、他の業者から一括して請け負うことも禁止しています。つまり、請負わせることも請負うことも両方禁止しているのです。つまり、元請業者・一次下請業者間はもちろんのこと、一次下請業者・二次下請業者間、それ以下の下請業者間でもすべて一括下請負・丸投げは禁止です。

では、どんな工事も一括下請負(丸投げ)は禁止なのでしょうか?
公共工事においては全面禁止です、民間工事は、共同住宅を新築する工事は禁止ですが、それ以外は事前に発注者の承諾の書面を得た場合は一括下請負(丸投げ)することができます(建設業法第22条第3項に記載されています)。

元請負人が「実質的に関与」しないとは具体的にどういうことでしょうか?
これは「国土交通省 一括下請負禁止の明確について(別紙1)」に、元請・下請が果たすべき役割として、元請・下請の行うべきことを記載しています。

【国土交通省 一括下請負禁止の明確化(別紙1)】
①元請(発注者から直接請負った者)が果たすべき役割

施工計画の作成 ・請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成
・下請負人の作成した施工要領書等の確認
・設計変更等に応じた施工計画書等の修正
工程管理 ・請け負った建設工事全体の進捗確認
・下請負人間の工程調整
品質管理 ・請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
安全確認 ・安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
技術的指導 ・請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
・現場作業に係る実地の総括的技術指導
その他 ・発注者等との協議・調整
・下請負人からの協議事項への判断・対応
・請け負った建設工事全体のコスト管理
・近隣住民への説明

〇元請には以上の事項を全て行うことが求められています。

②下請(①以外の者)が果たすべき役割

施行計画の作成 ・請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の
作成
・下請負人が作成した施工要領書等の確認
・元請負人等からの指示に応じた施工要領書等の修正
工程管理 ・請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
品質管理 ・請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)
・元請負人への施工報告
安全管理 ・協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った
範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
技術的指導 ・請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等
法令遵守
・現場作業に係る実地の技術指導※
その他 ・元請負人との協議※
・下請負人からの協議事項への判断・対応※
・元請負人等の判断を踏まえた現場調整
・請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理
・施工確保のための下請負人調整整

(注)※は、下請が、自ら請けた工事と同一の種類の工事について、単一の建設企業と更に下請契約を締結する場合に必須とする事項として決められています。

〇下請は、以上の事項を主として行うことを求められています。

《一括下請負に該当する事例》

一括下請負に当たるかどうかは、元請負人が請負った工事1件ごとに判断します(請負契約単位ごとです)
請け負った工事を全て丸投げしていればすぐに一括下請負だとわかりますが、部分的に請負わすケースでも一括下請負になることがあります、下記の場合は一括下請負に該当します、参考にして注意してくださいね!
①戸建分譲住宅6戸の新築工事を請負った元請負人が、そのうちの1戸を下請負人にすべて請け負わせる場合
※①は元請負人が請負った建設工事の一部であっても他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事を一括して下請負人に請け負わせるケースに当たります、これは一括下請負(丸投げ)になります

②住宅の建築工事(建築一式工事)を請け負った元請負人が、自らは内装仕上工事のみを行い、その他の全ての工事を下請負人に請け負わせる場合
外装塗装工事を請負った元請負人が、自らは足場工事のみを行って、塗装工事を下請負人に請け負わせる場合
※②③のように、元請負人が附帯工事のみを行って、本体工事を下請負人に請け負わせるケースも一括下請負(丸投げ)になります。

お話が長くなって申し訳ございません、本日は以上です、建設工事の丸投げについてお話をしました。参考にして頂けると幸いです!
次回は、今回と関連のある
元請さんと下請さんの関係についてお話をしていきます。

 

建設業許可を取りたい方、許可の取得を考えている方、それ以外でも建設業許可に関連することでお聞きになりたい方、お困りごとがある方、『建設業許可申請サポートオフィス埼玉!』にご相談ください。気軽にお電話でお問い合わせください、気さくな行政書士がご対応します。☎048-242-3158です!
電話は…という方はお問い合わせ画面よりご相談くださいね!